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2015年7月 4日 (土)

小倉裕史「楽琵琶」

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こちらは、以前、2013年の3月21日(木)のブログにて
ご紹介しております小倉裕史先生が作られた
「楽琵琶」をご覧くださったお客様より、
昨年ご注文頂きまして、
半年程かけて作られた「楽琵琶」です。
先月お納めさせて頂きました。

実際に演奏されていらっしゃるお客様。
その方は、なるべく昔ながらの作り方で
作って欲しいとのご希望で
材料もまた、昔の記録にあるような名器の材料を
先生には、選んで頂きました。

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制作中には、お客様ご自身が
木材や象牙といったこだわりの材料を集められたり
様々な「楽琵琶」の資料などお持ちくださったりと
お客様の「楽琵琶」に対するお気持ちが
私共にまで感じるほど。

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小倉裕史先生もその思いにお答えしようと
ツゲや、タガヤサン、象牙など現代では
なかなかに手に入りにくい木材材料探しから、
制作するにあたり試行錯誤の繰り返し・・・
結果、お二人の熱意が込められた
上質で素晴らしい「楽琵琶」が完成致しました。

「楽琵琶」は、クラシックギターのように
余韻がありすぎては駄目で
音が大きく、締まりがあり、
遠音がさすものののような長い残響がないものが
「楽琵琶」としては最高の楽器なんだとか。

後日、お客様が伊勢神宮元楽長の先生に
小倉先生作の琵琶をご覧頂いたそうで
嬉しいことに、沢山お褒めのお言葉も頂戴致しました。

先生曰く、音量、音勢がある、非常に良くできた琵琶。
一番細い絃も楽器が共鳴して良くなっている。
各絃のバランスがとれており、楽器として完成されている。
残響も響きすぎず、短すぎず、良い調子。
転手反手の細工が精密で、調絃がしやすく戻ら
ないため調律が狂いにくい。
外見も優美で洗練されていると太鼓判を押して頂きました。

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普段の小倉裕史先生は家具を専門に
制作されておられる木工作家です。
小倉先生にとって楽器の製作は、
本当に初めてのことでしたが先生は作るものに対して、
いつも真摯に向き合いながら丁寧なお仕事をされ、
常にお使い下さる方の事をとても考えて作ってくださいます。
その為、いつもご注文を受けました場合、
同時進行で作品をもう一点全く同じものを作られるのです。
今回の「楽琵琶」も同じで、
お客様がどのような事を求めておられるのか
琵琶にとっても一番良いものとは何か・・・を
考えに考えて精根込めて作られた「楽琵琶」には
先生の情熱を感じました。

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