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2011年10月

2011年10月31日 (月)

お手製の栗の渋皮煮

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上方銀花の創業当時から支えていただいている、温かい
お客様が届けてくださったお手製の栗の渋皮煮。
わざわざ取り寄せてくださった大粒の立派な栗を使って
お作りくださいました。
渋皮を傷つけないように、一粒ずつ丁寧に鬼皮を剥き、
渋を抜いて灰汁を取りながら、やさしくことことと煮込んで
いきます。
美味しい渋皮煮を作るのは非常に手間がかかって難しい
のですが、お客様の愛情を感じるやさしい甘さで、今が
旬の栗の美味しさを丸ごと堪能させて頂きました。
ほろほろと口のなかでほぐれていくほど柔らかく煮てくだ
さった一粒を、すぐに食べてしまうのが勿体なくて、
小谷真三先生のソーダガラスの小皿にのせて、しっかり
味わって美味しく頂きました。
どうも有難うございました!

今日は、ハロウィンです。
昨今は日本でもカボチャの人形やお菓子が売られたり
していますが、もとはケルト人の収穫への感謝のお祭りから
始められたものです。
カボチャのランタンも、本来はカブで作られたのだとか。
10月31日はケルト人にとっては大晦日で、一年の締めくくり。
その日を境に冬の季節を迎えます。
収穫の季節の締めくくりとして、神様や精霊に感謝したの
です。
豊かな実りに感謝し、また新たな年の豊作を願う思いは
万国共通です。

秋の味覚を味わって、冬の季節へ向けて英気を養い健康に
過ごしていきたいですね。

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2011年10月30日 (日)

小谷真三の『手』

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展覧会の会期直前まで高山にお出かけで、お疲れのところ
初日に加えて2日目もご在廊くださった小谷真三先生。
その活動的なご様子には、頭が下がります。
80歳を過ぎられた今も精力的に制作され、また、お若い
後進の方々にも熱心にご指導なさっておられます。

素朴な温かみを感じさせる吹きガラスは、このしっかりとした
厚みのある手から生み出されます。
ひたすらに「倉敷ガラス」に生き、ただ黙々と作ることから
新たな仕事の喜びを知った小谷先生。
おひとりで全ての作業をこなし、ダンスを踊るかのような
リズムで、よどみなのない動きの中から自然と生み出される
素直な形には、使う人に心地よい喜びを感じさせてくれます。

「健康で、無駄がなく、真面目で、威張らない」
その信念のなかには、小谷先生の作品のみならず、
お人柄もよく表されています。

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2011年10月29日 (土)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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眺めているだけで胸がときめいて幸せな気持ちになる、
小谷先生の赤い作品。

赤いガラスは火の温度や調合の仕方で発色が変化し、
安定した色を創りだすのは難しいのだそうです。
徐冷窯のなかでゆっくりと時間をかけて冷ましてからで
ないと、きれいな赤い色が出せているか確かめることが
出来ません。
同じ赤はふたつないといわれる色は、ガラス工芸を志す
人にとっての永遠のテーマといえるのかもしれません。

小谷先生の倉敷ガラスにも赤い作品は見られますが、
その数は少なく、貴重なものです。
しかしこの真実に美しい赤は、見る人の心を捉えます。
先生ならではの、伸びやかで大らかな形も見事な逸品
です。

少し贅沢な気分でお使い頂きたい赤のワイングラスや、
代表作でもある赤い栓のある角瓶もきれいです。
小谷真三・作品展は、31日(月)までの開催です。
ぜひお出かけくださいませ。


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2011年10月28日 (金)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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小谷真三先生の倉敷ガラスといえば、まず思い浮かべる
のが、深い海の色のような美しいブルーの色です。
グリーンがかっていたり、淡い色だったり、こっくりとした
色だったり。
いずれのブルーもその吸い込まれそうなほどの透明感が、
日常の暮らしの中のオアシスのように見る人の気持ちに
すんなりとやさしく寄り添ってくれるようです。

機械製品のガラスのような冷たさを感じるものではなく、
ぽってりとした厚みと重みがあって、とろりとした質感の
小谷先生の吹きガラスは、使う人の心や時に潤いを与えて
くれます。

岡山弁でぽつりぽつりと語られる、小谷先生。
職人気質の頑固さと、人々に愛される茶目っけがあって
穏やかなお人柄はその作品ともども多くの人を魅了して
やみません。
様々な素晴らしいご縁の中で、盛岡・光原社の及川さんの
ご尽力によって盛岡にも窯を築かれ、現在でも年にひと月
ほどは盛岡に滞在されて制作を続けておられます。

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2011年10月27日 (木)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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若き頃、クリスマスツリーに飾るガラスのオーナメントを
日に2500個から3000個、ひとつずつ吹いて作る職人で
あった小谷先生。
ひとつのガラスのコップの制作を依頼されたことから、
小谷先生の「倉敷ガラス」は始まります。
生みの苦しみの末に作り出されたガラスの作品は、
倉敷民芸館の初代館長であった故・外村吉之介氏に
よって、倉敷ガラスと命名されました。
今では、倉敷を代表する民藝の名品として、また日々の
暮らしを彩るガラス作品として人気を集めています。

小谷先生がガラスと向き合う上で心がけておられるのが、
外村先生から教えられた4つの教訓です。
「健康で、無駄がなく、真面目で、威張らない。」
丈夫で割れにくく、余計なものがない、使えば使うほど
愛着のわくガラスの仕事。使うことを一番に考えた、
素朴で誠実なもの。
その精神から生み出される小谷先生の倉敷ガラスには、
永い年月のなかで色のある作品も生まれ、種類も少し
ずつ出来て来ました。
失敗を重ね、無我夢中に仕事をなさった中から新たに
学んで、様々なフォルムの瓶も作られました。
栓をつける分大変な作業になりますが、堂々とした姿の
ものから、掌に納まる細かなものまで、色々な瓶が心を
和ませてくれます。

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2011年10月25日 (火)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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小谷先生が、倉敷からご持参くださったお茶盌。
高台もつけられた、美しい形です。
ぽってりとした厚みがあり手にしやすい大きさで、
口の当たりが柔らかくて心地よさそうです。
お箱書きもございます。
小谷先生の作品の中では日常の器と異なり、それほど
数多く創られる作品ではありません。

高温の中から生み出される吹きガラスは熱にも強く、
予めぬるま湯にくぐらせて、急激な温度の変化に気を
付ければ、お湯を注いでも問題はありません。

夏の茶事に、ガラスの茶盌は涼やかで、神秘的な風情が
あります。
裏千家では、夏場にガラスの茶器を使い、季節感を
愉しむことがあります。
陶器のお茶盌にはない透明感や、吹きガラスならではの
気泡や大らかな姿が魅力的です。

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2011年10月24日 (月)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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「ものづくり生活」の中でも、小谷先生の倉敷ガラスの
代表作として紹介されている酒瓶と小さなワイングラス。
どこに出しても恥ずかしくないと、小谷先生が太鼓判を
おす作品です。
小さなワイングラスは、日本酒や食前酒、ウォッカの
ようなきついお酒にも似合い、上方銀花でも非常に
人気の高い作品です。

試行錯誤ののちにうみだされた独自の技法によって
つけられた、斜めのさざ波のような文様が心地よく、
シンプルでありながら、表情豊かです。
光に透かすとまるでガラスが喜んでいるかのように
美しく、中にいれるものによって陰影が変わります。
手作りの吹きガラスだけがもつ温かみには、実用の
器であって人の心を惹きつけるものがあります。

出番の多い日常の器にこそ、使い勝手がよく、
心の休まるものを使いたい。そんな思いを満たして
くれる優しさが、小谷先生の作品にあふれています。

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2011年10月23日 (日)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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小谷先生の「倉敷ガラス」の歴史は、コップから始まり
ました。
分業化されていたガラスの仕事の全てを、お一人で
一貫して作ることを始められ、試行錯誤の中で生まれた
ガラスのコップ。
このコップのおかげで、一生をかけて情熱をそそぐ
ことが出来る仕事を、得ることができたと小谷先生は
仰います。
機能的で飾らない、日常の生活に馴染むコップを手に
したときの質感には、人の心を和ませる不思議な力が
あります。
実は、美智子妃殿下のご実家でも愛用されてきたこの
コップは、現在、皇室でも皆様がお使いになられている
そうです。

昭和39年の創業時から変わらない形。
激動のこの時代にあって長年変わらないコップ。
労を惜しまず黙々とひとりガラスと向き合って、創業当時
丸1年がかりで生み出された永遠の形です。
必死にまじめにやれば、窯から自然とコップが出来る
ものだと先生はにっこり語ってくださいました。
今回は、始めて見せていただく緑色のコップも届いて
います。

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2011年10月22日 (土)

小谷先生を囲んで 26周年お祝いパーティー

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「倉敷ガラス 小谷真三 作品展」のオープニングの昨日、
小谷真三先生を囲んで、上方銀花の創業26周年の記念
パーティーをさせて頂きました。
今年は小谷先生の展覧会でお祝いをさせて頂けましたこと、
とても幸せに、光栄に思います。

お料理上手なお客様方がお持ち寄り下さった、愛情たっぷりの
ひと皿ひと皿に、小谷先生のグラスで乾杯。
先生のユーモアのあるあたたかいお話に、笑顔あふれる
とても楽しいひと時となりました。

今年初めてパーティーにご参加頂く事ができたお客様や、
嬉しいご縁を頂いて遠方からお出かけ下さったお客様、
いつも上方銀花を支えてくださるお客様、皆様方に感謝の
気持ちでいっぱいです。
本当に有難うございました。

故・三木行治岡山県知事の功績をたたえ、同県が地域の
発展に貢献する個人に贈る「岡山県三木記念賞」を、今年
9月に受賞された、小谷真三先生。
ますますお元気に、人々に愛される自然で美しい作品を
お作りくださることを願っています。
上方銀花も、ますます元気に頑張ります。
これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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2011年10月20日 (木)

冨長敦也 ガブリエル

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「人間」をテーマに、石に生命を刻みこむ冨長敦也先生。
ガブリエルのシリーズの作品を、新しくお届けください
ました。
素材はどれもトラバージンですが、産地によって色が
異なるのが神秘的で面白いものです。
聖母マリアに受胎告知をしたという、天使ガブリエル。
良い知らせや幸福をもたらしてくれるとして、ご結婚や
ご出産のお祝いや、お引っ越しのお守りにお求め下さる
お客様もいらっしゃいます。
傍にあるだけで何となく気持ちを癒してくれるような
気がするのは、石の持つパワーもあるのでしょうか。
今回の作品には、壁にかけることが出来るものも
ございます。

東北地方を襲った大震災から、早や7カ月以上が経ち
ました。
彫刻家として自分が出来ることは何か、自らに使命を
問われた冨長先生は、ご縁があって東北を訪れ、
復興への願いを込めてその地の石に刻まれました。
その作品を見た人々にとって、癒しであったり安らぎで
あったり、時には力を与えてくれるような作品である
ことを願います。

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2011年10月18日 (火)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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小谷真三先生の作品展が、21日(金)より始ります。
展示の準備を進めております。

定番のコップやグラス、瓶に、今回初めて拝見する作品
まで様々な作品をお送りくださいました。
どれもやさしい手触りが人の愛を誘う、穏やかで素直な
作品です。
80歳を過ぎられてもなお、ガラスと真摯に語り合われる
小谷先生のお姿には、本当に感銘をうけます。
通常は、その工程上二人以上で組んで行われる吹き
ガラスの仕事を、小谷先生は独自の技術でおひとりで
なさいます。
ゆがみや気泡がまた、味わい深い表情を生み出します。

日の光を浴びて美しく健康的に輝く、小谷真三先生の
作品展です。
ぜひご高覧くださいませ。

倉敷ガラス・小谷真三 作品展 21日(金)~31日(月)

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2011年10月17日 (月)

倉敷ガラス 小谷真三 作品展

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地球丸より発売中の、別冊天然生活「ものづくり生活」に
21日(金)より上方銀花で個展をしていただく、倉敷ガラスの
小谷真三先生が特集されています。
小谷先生の制作のご様子のほか、代表作や思い出の
作品、大切な宝物など、きれいな写真で小谷先生の
お人柄までつたわるような記事になっています。

今日は倉敷から作品が届いて、楽しみながら荷解き
させてもらっています。
先生にはご無理をお願いして、沢山の作品をお送り頂き
ました。
とろりとした質感に、心が和む作品です。
初日には小谷先生もご在廊くださいます。
現在でも日々、精力的に作品と向き合っておられる
小谷先生の新作を展示させて頂けることを、本当に
誇りに思います。

「ものづくり生活」には、陶器の石原稔久先生の記事も
掲載されています。

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2011年10月16日 (日)

林まさみつ 掛花「びく」

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7月の個展の折にオーダー頂きました、林まさみつ先生の
竹の掛花入れが出来あがってお納めさせて頂きました。
お客様は、林先生の竹のバッグもご愛用くださり、
その繊細でやさしい仕事に惚れ込んでおられる方です。

「びく」という名の通り、お魚をいれるびくのような形の
花入れで、林先生のお作りになる掛花のなかでは
大きなサイズのご注文でした。
シンプルな造形だからこそ緊張感があり、丁寧に編み
上げられた非常に美しい作品です。

秋の七草を初め、お花の美しい季節。
さりげない野の花や、茶花がよく似合います。
花器はお花を活けていただくと、表情が豊かになり
生きます。
活けるお花と共にあって、お互いに生かし合える花器が
最も美しい花器なのです。

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2011年10月15日 (土)

アジアの更紗帛展

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希少なインドの野蚕種の中で、タサール蚕、ムガ蚕、
エリ蚕はインド三大野蚕とよばれます。
中でも、豊かな光沢と風合いにすぐれたタサール蚕の
貴重な繭を用いた着尺が届いています。
こちらは、インド細密画の名手、ジャイ・パラカシ氏による
細部まで緻密に描かれた、美しい更紗をのせた訪問着
です。
実際にご高覧頂きたい、見事な筆使いです。
非常に糸が細く、驚きを覚えるほどの軽さです。

インドを代表する野蚕であるタサール蚕からとられた
タッサーシルクは、聖なるものの象徴として巡礼の人々に、
また婚礼の衣装にと用いられました。
繭の採取から糸作り、織り上げるまで手仕事を重ね、
素晴らしい光沢の着物が生み出されています。

また、経糸に真綿糸、緯糸にタッサーシルクを用いた
ものや、黄金の繭ムガなど、野蚕ならではの素朴な
味わいの中にセンスの良さを感じさせる、無地の着尺も
ございます。
その野趣に富んだ風合いが、実に魅力的です。

アジアの更紗帛展は、17日(月)までの開催です。
ぜひお出かけくださいませ。

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2011年10月14日 (金)

アジアの更紗帛展

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「アジアの更紗帛」展のDMに使用しておりました、トラの帯が
染めあがってきました。
面白い文様に、DMをご高覧頂きましたお客様方から展覧会が
始まる前からお問い合わせを頂いていましたが、会期途中から
の展示となりましたことお詫び申し上げます。

バティックによる、手描きの九寸帯です。
織り味も愉しい、紬地に染められています。
前は、トラとお花をアレンジしたような丸い文様が描かれて
います。春、秋、冬、締める時期を問わないのも更紗の帯の
魅力です。

日本には野生では生息していないトラですが、世界的にも
年々その数は減少し、20世紀に入って3亜種が絶滅したと
いわれています。バティックの産地であるジャワ島に生息した
ジャワトラも、絶滅してしまいました。
開発によって生息地が奪われていること、綺麗な黄色と黒の
縞模様の毛皮や、漢方になると信じられた骨のために乱獲
されたことが一因であるといわれます。
強さや勇猛さの象徴であるトラ。
太い尻尾を強く持ち上げられるのもトラの特徴で、帯にもその
様子が悠然と描かれています。

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2011年10月13日 (木)

ダニエルの「白うなぎ」

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美味しい洋菓子店の激戦区、神戸・御影。
ダニエルの人気のケーキ、「うなぎの寝床」を頂戴しました。

チョコレートケーキとホワイトチョコのケーキを、どちらも
美味しく頂きました。
うなぎの寝床というと、細長くて黒いチョコケーキが有名
ですが、こちらはホワイトチョコのその名も「白うなぎ」。
ネーミングもユニークです。
チョコチップや、アプリコット、ドライいちじく、レモン、いちご
などが入れられた、ふわっとしっとり、食感もほどよい
ケーキです。
ナイフをいれると、ほんのりとレモンの爽やかな香りが
しました。
表面のホワイトチョコがパリっとして、ドライフルーツの
甘酸っぱさがよく合います。

(黒漆のお皿 松﨑融 作)



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2011年10月11日 (火)

アジアの更紗帛展

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インドには、美しい伝統の手技が沢山あります。
インドという国の、悠久の歴史と奥深い文化には心惹かれる
ものがあります。
世界の染織工芸の原点が全てあるといわれるだけあり、
インドの各地域には、大地に根付いた大らかな味わいと、
気が遠くなるほどの繊細な手技の両極をあわせもつ染織品を
みることが出来ます。

染めの手仕事である更紗とは、また違った美しさを感じさせる
刺繍の仕事。
糸の立体感からうまれる陰影が魅力です。
上方銀花では、プランツさんのストールでお馴染の、インド
北部ラクノウ地方の伝統的なチカン刺繍を始め、ベンガル地方
のカンタ刺繍、カシミール地方の細密刺繍などの技法の帯も
展示しています。
カシミールの刺繍は世界的に最高の評価を与えられるもので、
18世紀から19世紀にかけて、イギリス産業革命に大きな
刺激を与えたことで知られています。
インドの伝統刺繍の主なモチーフである勾玉のようなお花を
集めた形は、カルカやブータと呼ばれますが、イギリスの工業
都市ペイズリーにおいて大量に機械で模倣されたことから
ペイズリー文様として世界的に広まりました。
そのエキゾチックなモチーフは、現在でも世界中に愛される
永遠のデザインです。
ひと針ひと針、刺繍された繊細な手仕事からは、時間を
超越したゆるぎない愛情を感じるようです。

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2011年10月10日 (月)

アジアの更紗帛展

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晴れの得意日と言われる体育の日。
今年も晴天となりました。
開催中の「アジアの更紗帛」展にも、すてきなお着物姿の
お客様方がお出かけくださり、目を楽しませて頂いて
います。
昔と比べて世の中が暑くなっている最近では、単衣の
お着物が活躍する時期が長くなっていることを実感します。
季節感などを楽しみながら、着る方にとって着心地がいいと
いうことが一番だと思います。

インド細密画による、手描き更紗の九寸帯です。
インドでは実力が認められて、国賓の方々の肖像画も
手掛けているジャイ・パラカシという絵師の手によるものです。
まだ写真の技術がなかった時代に、インドの王族はお抱え
絵師に自分たちの暮らしの様子を描かせました。
今では、その伝統芸術を受け継ぐ者は殆どいなくなったと
いいます。

最初に鉛筆でスケッチを描き、マングースの尻尾の毛で
作った太い筆で色を塗ります。
そして細かな描写は、リスの尻尾の毛の細い筆でなされ
ます。
気の遠くなるような、緻密な描写が見事です。
丁寧に描かれたお花や縁取りの色あいも可愛らしく、
締めやすい帯です。

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2011年10月 9日 (日)

十三夜

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穏やかな小春日和が続いています。
日中は、まだ暑さも感じさせるほどですね。

今日は十三夜です。
旧暦8月15日の中秋の名月に続いて、旧暦9月13日は「後の月」
としてお月さまを愛でる風習があります。
十五夜は中国に端を発したものですが、十三夜は日本独自の
農作物の収穫を喜ぶ行事で、どちらか片方だけのお月見は
「片見月」「片月見」といって、良くないとされます。

お客様に頂いた立派ないがつきの栗を、松﨑融先生の朱漆の
台にのせました。一木から刳り出される松﨑先生の作品は力強く、
赤の色が生命力を感じさせます。
年末には、展覧会で新作をお目にかけることが叶います。

もう少し乾燥してくると自然にいががはぜて、栗の実が顔を
みせるのが楽しみです。
十三夜は、その収穫の時期を迎えることから「栗名月」や「豆名月」
とも呼ばれます。畑や山に実った作物を供えて、豊作に感謝する
のです。
また、十三夜はお天気に恵まれることが多く、「十三夜に曇り無し」と
表されます。この日のお天気で、翌年の小麦の豊作・凶作を占う
地域もあるようです。
今夜も、きれいなお月さまを見ることが出来そうです。

そもそも十三という数は、東洋では縁起のいい数とされています。
正月始めを祝う十三日祝いや、十三歳をお祝いする十三詣りなど
にも、その影響をみることが出来ます。


松﨑融 欅四方台   189,000円

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2011年10月 8日 (土)

アジアの更紗帛展

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バティックと呼ばれ親しまれている、インドネシアのジャワ
更紗。
チャンチンという金属製の細い筒に入れた蝋で、描いた
文様を防染するのが特徴です。
手仕事によって生み出される、細かったり太かったりする
趣きのある線の風合いが魅力的です。

写真は、共にバティックの袋帯です。
熱帯の花などの植物、神話の鳥ガルーダなどの文様は
おおらかで生命力に溢れ、自由な雰囲気ですが、細部に
まで目をやると繊細で見事な手仕事に驚きます。
ぎざぎざの三角文様は鋸歯文(きょしもん)と呼ばれ、
更紗のルーツであるインドでもインドネシア向けの更紗布と
して描かれてきました。
日本にも古くから多く渡って来ている文様です。
インド文化がインドネシアの染織に与えている影響は計り
知れません。

南国の風を、日本のおきものに取り入れて。
インパクトがあって個性的なバティックの帯を、着こなしの
アクセントにしていただくと素敵です。
お使いいただきやすい九寸帯も多数揃っております。


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2011年10月 7日 (金)

アジアの更紗帛展

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世界の染織のルーツとなったインド。
更紗の文様には、世界中の人々に愛され続ける
エキゾチックな草花文様と、インド国内で使われる
宗教的な文様とがみられます。
悠久の時を経て伝えられた豊かな感覚がみられます。

写真は、更紗の文様を上手く用いた木版更紗の小紋と
九寸帯で、ともに花更紗の文様です。
インドやインドネシアの職人さんたちによって描かれて
います。
唐草状の枝に花が咲き乱れ、空想的でどことなく懐かしい
ような情緒を感じさせます。
17世紀以降、ヨーロッパからアメリカへ、東南アジアから
日本へともたらされ、それぞれの国で模倣された花更紗は
特にヨーロッパの花文様の原点となりました。

素朴でやさしい更紗の文様。
永い歴史に培われた更紗文様を帯やきものに用いる
のは、ロマンチックで楽しいものです。



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2011年10月 6日 (木)

アジアの更紗帛展

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10月に入り、いよいよお着物を愉しんでいただくのに
気持ちのいい季節の到来となりました。
更紗に心惹かれる秋です。
2号店ギャラリーは、またがらりと展示換えをして、
明日からの「アジアの更紗帛」展の作品を飾りつけ
致しました。


日本をはじめ、各国の染織のルーツであるといえる
インドの更紗。
海や砂漠のシルクロードを経て伝わった、各国で
それぞれの国の文化と上手く溶け込み、民族の歴史や
暮らしの知恵など様々な意味を語りかけてくれます。
紀元前1世紀の記録には、ギリシャの歴史家ヘロドトスが
インドの更紗文様を「天国の花園のよう」と讃えたと
残されています。

今展では、更紗文様を取り入れた着物や帯を中心に、
アジアの刺繍やイカットもご紹介しています。
また、和装だけでなく洋装にも合わせて頂きやすい
ショールも多数揃っています。
明日7日より17日(月)までの開催です。
ぜひお出かけくださいませ。

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2011年10月 4日 (火)

テオブロマの『ジャリ』

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いつもセンスのいいお菓子をお土産に、お店にお遊びに
お越しくださるお近くのお客様。
東京にお住まいのお嬢様を訪ねられて、お洒落な
チョコレートをお探しくださいました。

ミュゼ ドウ ショコラ テオブロマの「ジャリ」。
代々木公園のジャリをヒントに、チョコレートで再現されて
います。
丁寧に手作りされた、きれいなチョコレートです。
外はかりっとして、ミルクチョコレートが包まれています。
小谷真三先生の、倉敷ガラスのワイングラスにいれて
みました。
光の屈折がきれいです。

小谷先生には、今月21日~久しぶりの個展でお世話に
なります。
DMの写真撮りのために新作が届き、スタッフ一同
ワクワクとしています。

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2011年10月 2日 (日)

手作りケーキ

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グルメなお客様が、明石のご自宅からわざわざ届けて
くださった、愛情たっぷりの美味しい手作りケーキです。
川野恭和先生のお皿にのせて。

ふわふわに上手に焼かれたスポンジに、甘さの加減が
ちょうどいい生クリーム。
一面にとてもきれいにクリームが塗られて、ナイフを
入れるのが勿体ないぐらいでした。

いつも本当に有難うございます。
いくらでも頂けてしまいそうにふわふわでした。
ごちそうさまでした!

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2011年10月 1日 (土)

MIEKO MINTZ & Monica Castiglioni

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軽くて丈夫な、ミエコ・ミンツのお洋服。

インドのサリーを2枚合わせて刺子のようにステッチをした
カンタは、鮮やかで、こっくりとした色味が増える秋冬の
装いのなかで、スパイスになります。
大きさに限りがあるであろうエスニックな生地でも、
ミエコさんの独自のテクニックで身体に添うお洋服に
生まれ変わります。
レーヨンスパンデックスはさらっとした肌触りも心地よく、
圧縮ウールはしっかりとした生地が温かくオシャレです。

ニューヨーカーを魅了する、色合いの美しさ。
縫製が丁寧で、立体的なカッティングやドレープが
きれいなシルエットを生み出します。
ご試着いただくと、新たな世界が拡がる作品です。

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