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2011年5月31日 (火)

壱木呂の会

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国産の漆にこだわる漆工芸家・本間幸夫先生。
上方銀花でもお世話になって、随分と長くなりました。
英語では「JAPAN」と言われる漆ですが、安価な中国産漆におされ、
日本産漆は危機的な状況に瀕しています。
本間先生は漆を使う工芸家として、その現状を憂い、日本産漆を
支援する「壱木呂の会」を立ち上げ、日本産漆を次世代へ継承する
ための活動をしておられます。

1本の漆の木から採れる樹液は、牛乳瓶1本程度だそうです。
漆掻きが出来るようになるには、苗木を植えてから10年もの歳月を
要します。その時期も、6月~10月と限られた期間の中の6、7、8、
あるいは8、9、10と3カ月間だけです。
「壱木呂の会」では、茨城県奥久慈に漆の木を植え、採れた樹液を
自らの作品に活かすことを目的として活動されています。
4月に、震災の傷もまだ生々しい奥久慈で漆の植栽の会が開かれた
際のお写真を送ってくださいましたので、ご紹介致します。
丁寧に植えられた苗木ですが、植えることが最も楽な作業であり、
枝を落とし、下草を刈る、10年育てて漆を採り、その木を伐採して
束ねて片付けるという、その後の管理が大変なのです。
そして、漆に携わる作家のひとりが年に1キロの国産漆を買うことで、
後継者不足の問題を抱える、漆掻き職人の需要を支えておられます。

今回は新たに、茨城県の鹿島神社を初めとする日本全国の寺社など
建造物の修理を行っている漆関連企業が、「壱木呂の会」の運動に
協力して下さることになったそうです。奥久慈漆の植栽の支援と、
それが摂取される時期に正当な対価で買い上げて下さるとのことです。

今後、茨城県北の耕作放棄畑の有効利用を推進するうえでも、
また、日本の伝統を守るためにも、このような活動が続けられ
広がっていくことを願います。

壱木呂の会

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